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予備校の講師の先生が、部分積分を効率よく計算する話をされた。あまりにも素早く解説されたので、戸惑ってしまったが、家に帰って計算してみると、なるほど、簡単だ。

部分積分は、


\label{eq1}
\int fg'dx =fg-\int f'g dx
(1)
で与えられる。これは、x^2\sin x などの不定積分を計算するときに便利である。 しかしながら、ちょっと面倒くさい。そこで、今、関数 f の微分を Df で表し、 不定積分を If で表して、上の部分積分の公式を書き表してみる。


\label{eq2}
I(fg)=fIg-I(DfIg)
(2)

この式は、よく見ると、再帰的に定義されている。

そこで、最後の I(DfIg) にこの式を再度適用すれば、


\label{eq3}
I(fg) & = & D^0fIg-\left\{DfI^2g-I(D^2fI^2g)\right\} \
      & = & D^0fIg-DfI^2g+I(D^2fI^2g) \
      & = & D^0fIg-DfI^2g+D^2fI^3g-D^3fI^4g+\cdots 
(3)

ここで、幸運にも、関数 fn 階微分 D^{n}f=0 であれば、


\label{eq4}
I(fg)= \sum_{k=0}^{n}(-1)^kD^kfI^{k+1}g
(4)

となる。というわけで、x^2\sin x の不定積分を求めてみると、D^3(x^2)=0 だから、


\label{eq5}
I(x^2\sin x) &= &x^2(-\cos x)-2x(-\sin x)+2\cos x \
             & = & -x^2\cos x+2x\sin x+2\cos x
(5)

また、x^4e^x の不定積分を求めると、D^5(x^4)=0 で、I^n(e^x)=e^x であるから、


\label{eq6}
I(x^4e^x) &=& x^4e^x-4x^3e^x+12x^2e^x-24xe^x+24e^x \
          &=& (x^4-4x^3+12x^2-24x+24)e^x
(6)

となる。これをインテグラルの記号を使っていたら大変である。

しかし、\log x の不定積分は、どうであろうか? これは、無限級数になってしまう。


\label{eq7}
I(\log x \cdot 1) & = & \log x\cdot x - x^{-1} \cdot \frac{1}{2}x^2 + 
\{(-1)\cdot x^{-2}\}\cdot \frac{1}{6}x^3 - \{(-1)\cdot (-2)x^{-3}\}\cdot \frac{1}{24}x^4 +\cdots 
(7)

しかし、上の級数の第2項以降を、うまく \sum で表してみると、


\label{eq8}
I(\log x\cdot 1) & = & x\log x +\sum_{k=1}^{\infty}(-1)^k\cdot (-1)^{k+1}
\cdot (k-1)!\cdot x^{-k}\cdot \frac{1}{(k+1)!}x^{k+1} \
& = & x\log x - \left(\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(k-1)!}{(k+1)!}\right )x \
& = & x\log x - \left(\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k(k+1)}\right )x 
(8)

となり、


\label{eq9}
\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k(k+1)} = \lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k(k+1)} = \lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}\left(\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\right ) = \lim_{n\to\infty}\left(1-\frac{1}{n+1}\right ) = 1
(9)

であることから、


\label{eq10}
I(\log x)=x\log x - x
(10)
を得る。結局簡単な積分は、ちゃんとした部分積分を行った方が早い。