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購入するインデックスファンドの前日の基準価額を一万口あたり M_p とする。また、現在までに取得しているファンドの口数を N_p とする。さらに、前日までの平均取得価額が 一万口あたり\overline{M} 円であったとする。このとき、午後3時の終値に対応するインデックスファンドの基準価額が M_c であったとする。 このとき、このファンドをB 円購入すると、

購入後の平均取得価額 \overline{M'} は、


\label{eq1}
\overline{M'}= \frac{\overline{M} N_p+10^4B}{M_cN_p+10^4B}M_c
(1)
で与えられる。

命題1.

ファンドの購入を見送った場合、B=0 で、\overline{M'}=\overline{M} となり、平均取得価額は変化しない。

命題2.

平均取得価額を減少させるための、必要十分条件は、現在までの平均取得価額よりも購入時の基準価額が低いことである。すなわち、\overline{M'}<\overline{M} となるための必要十分条件は、M_c<\overline{M} である。

証明:(1)より、


\label{eq2}
 \overline{M}-\overline{M'}=\frac{(\overline{M}-M_c)10^4B}{M_cN_p+10^4B}
 (2)
したがって、\overline{M}-\overline{M'} の符号と \overline{M}-M_c の符号は等しい。(証明終)

命題3.

当日の購入額 B にかかわらず、損益 \Delta は、前日までの平均取得価額 \overline{M} と 当日の基準価額 M_c と、前日までの取得口数 N_p によって決まる。


\label{eq3}
\Delta = (M_c-\overline{M})\times \frac{N_p}{10^4}
(3)

すなわち、損益は、前日までの平均取得価額と当日の基準価額の差と前日までの取得口数の積に比例する。よって、どんなに当日の購入額を増やしても、当日の基準価額が \overline{M}を 超えない限り、プラスに転じることはない。これは、当日の基準価額でB円購入したから、 この購入額の損益は0円であるからである。

これは、よく積立投資をするとリスクは減少するというが、投資金額に対する騰落率のリスクが減少するという意味である。

したがって、投資額に対する損益額が減少することはあっても、損益額の絶対値そのものは減少しない。これは、注意しないといけない。

命題4.

当日にB円購入したとすると、騰落率(%)は、


\label{eq4}
\frac{100N_p(M_c-\overline{M})}{10^4B+\overline{M}N_p}
(4)

したがって、騰落率は当日の基準価額が平均取得価額を下回っていても、減少することがわかる。

例1.

購入前にファンドの取得口数が196,464口で、平均取得価額が6,917円であった。このファンドは、TOPIXと連動し、TOPIXからファンドの基準価額が予想できるものとする。このファンドの当日の予想基準価額が6,047円で、このファンドを10,000円分購入することにした。

このとき、(1)より、平均取得価額は、6,917円から6,849円に減少する。このとき、騰落率は、-12.58%から、-11.72%に減少する。購入前と購入後では、損益は17,092円と変わらない。平均取得価額より安く買ったため、騰落率は減少する。

結論

損益を早くプラスにしたい場合は、平均取得価額をなるべく現在の基準価額に近づけるように、平均取得価額より基準価額が安いときに購入していけばよいことなる。

一度、投資に足を踏み入れれば、リスクを小さくするためには、さらに、購入しなければかえって損をしてしまうということが起こりうるのだ。

すなわち、

主張1.

現在、購入しているファンドの損益がマイナスであると仮定する。

このとき、損益を回復してプラスに転じる確率を高めるためには、未来の基準価額の期待値を計算し、その期待値よりも低くなるようにファンドを購入すればよい。

結局、安い時に買って、高いときに売るという単純な結論に達したのである。 定性的な理解には数学の出番はないかもしれないが、定量的にどのくらい購入しておけばよいかなど予想するときには数学が必要になってくるだろう。