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ある方から質問され、気付いたことを覚書しておく。

命題2で出てくる自然数解a,b,c のうち、c-b が奇数の2乗であるという 性質は命題1のことを知っていたにも関わらず、この40年間気付かなかった。

まず、よく知られている命題について、証明してみる。背理法だらけであるので、 いまいち不安である。

命題 1.

a,b,c を自然数とする。このとき、a^2+b^2=c^2 を満たす、既約な解は、 m, n が互いに素で、かつ、同時に奇数でないとして、次のように表される。


\label{eq1}
 a=m^2-n^2,b=2mn,c=m^2+n^2
 (1)

Claim 1. a, b は同時に奇数ではない。

a, b が同時に奇数であるとする。よって、a=2k+1, b=2l+1 とおける。 このとき、a^2+b^2=4(k^2+k+l^2+l)+2 となる。ところで、c=4m,4m\pm 1,4m+2 のそれぞれにおいて、c^2=16m^2=4(4m^2), c^2=16m^2\pm 8m+1=4(4m^2\pm 2m)+1, c^2=16m^2+16m+4=4(4m^2+4m+1) であるから、自然数の平方数は、4で割った余りは、0または 1 である。a^2+b^2 は4で割って2余るから、不合理である。

命題 1. の証明

a, b は同時に奇数ではないので、b を偶数としてよい。このとき、b^2=c^2-a^2=(c+a)(c-a) である。このとき、c+a=s, c-a=t とおくと、st は両方とも偶数または奇数である(自明)。よって、b は偶数であるから、st は両方とも偶数である。 したがって、s=2k, t=2l とすると、b^2=4kl である。ここで、kl は互いに素であるとしてよい。 なぜなら、k=pk', l=pl' として、k'l' は互いに素であるとする。 このとき、a=\frac{s-t}{2}=p(k'-l'), b=4pk'l', c=\frac{s+t}{2}=p(k'+l') であるから、共通因数 p が存在して、既約な解ではなくなってしまうからである。

さて、kl は互いに素であるので、b=2\sqrt{kl} であることを考えると、 k, l の素因数の指数はすべて偶数である。よって、k=m^2, l=n^2 とおいてよい。 kl が互いに素であるから、mn も互いに素である。 よって、b=2mn とおける。このとき、a=\frac{s-t}{2}=\frac{2k-2l}{2}=k-l=m^2-n^2, c=\frac{s+t}{2}=k+l=m^2+n^2 となる。 さらに、もし、m, n が同時に奇数であったとるすと、a, b, c すべて偶数になるので、既約ではなくなってしまう。したがって、m, n は同時に奇数ではない。(証明終)

命題 2. (解の分類)

a^2+b^2=c^2 を満たす既約な自然数解において、b が偶数であるとする。 このとき、c-b は奇数の2乗となる。

命題 2. の証明

命題 1. より、a=m^2-n^2, b=2mn, c=m^2+n^2 とおける。よって、


\label{eq2}
c-b=(m-n)^2
(2)
となる。ここで、m, n は同時に奇数ではなく、互いに素であるから、m-n は奇数でなければならない。 よって、c-b は奇数の2乗となる。

自然数解は、高校生の場合、2つのパラメータで記述するより、1変数で複数提示した方が実感がわくかもしれない。最初の a の値は、単純な等差数列である。これらの1変数による表示は、 命題 1.からすぐに導かれる。いくつか例を示そう。

 1.c-b=1^2 のとき、m=n+1 とすると、m, n は同時に奇数ではなく、m, n は互いに素である。よって、既約な自然数解は、


\label{eq3}
    a=1\cdot(2n+1),b=2n(n+1),c=2n(n+1)+1
   (3)
  である。
   3,4,5
   5,12,13
   7,24,25
   9,40,41
   11,60,61
   13,84,85
  
 この例などは、具体的な最初のいくつかの解を具体的に計算してみて、数学的帰納法を駆使して、上のn による解を発見するという方法もあるだろう。

 2.c-b=3^2 のとき、m=n+3 とすると、n が3の倍数のときを除いて、m, n は同時に奇数ではなく、かつ、互いに素である。


\label{eq4}
    a=3(2n+3),b=2n(n+3),c=2n(n+3)+9
   (4)
   15,8,17
   21,20,29
   27,36,45 <-reducible
   33,56,65
   39,80,89
   45,108,117 <-reducible
  
 例えば、(27,36,45) は既約ではなく、(3,4,5) を9倍したものである。 また、(45,108,117) は既約でなく、(5,12,13) を9倍したものである。

 3.c-b=5^2 のとき、m=n+5 とすると、n が5の倍数のときを除いて、m, n は同時に奇数でなく、かつ、互いに素である。


\label{eq5}
    a=5(2n+5),b=2n(n+5),c=2n(n+5)+25
  (5)
   35,12,37
   45,28,53
   55,48,73
   65,72,97
   75,100,125 <-reducible
   85,132,157
  
 (75,100,125) については、(3,4,5) の解を25倍したものになっている。

したがって、次の命題が得られる。(と思う)

命題 3. (命題 2 の一般化)

a^2+b^2=c^2 の既約な自然数解は、b が偶数であるときは、k を0以上の整数として、


\label{eq6}
a=(2k+1)(2n+2k+1), b=2n(n+2k+1), c=2n(n+2k+1)+(2k+1)^2 
(6)
と表される。ただし、k\geq 0 のときは、n2k+1 が互いに素である場合のみ既約な解となる。

自然数の解が 2k+1 ごとに既約でない解が現れるのは面白い。 これまで知らなかった、21,20,29などは、数が3,4,5のように数も接近していて興味深い。

当たり前のように使われている、三平方の定理も、自然数解という特殊な解に的を絞ると、 いくぶん面白い性質が見つかる。 その他にもいろいろ見つかりそうである。