home contents changes options help

ある株式を n 株取得しており、平均取得株価が1株あたり t円 であるとする。

命題 1.

株価の現値が平均取得株価より \Delta t 円だけ変化したとする。すなわち、1株あたり、t+\Delta t円であるとする。このとき、m 株売却すると、残りの持ち株 n-m 株の平均取得株価は、


\label{eq1}
t-\frac{m}{n-m}\Delta t
(1)
である。ただし、m<n

証明: 売却前に投じた額は、nt円であり、売却後に投じた額は、nt-m(t+\Delta t) 円となる。 よって、平均取得株価は、\displaystyle\frac{nt-m(t+\Delta t)}{n-m} である。(証明終わり)

命題 1. の考察

\Delta t>0、すなわち、株価が値上がりすれば、平均取得株価は、減少 し、 \Delta t<0、すなわち、株価が値下がりすれば、平均取得株価は、増加 する。

株価が値上がりしているとき、一部の株を売却すると、平均取得株価が減少するので、 残りの n-m 株を n 株を平均して t 円で購入したときよりも安く購入したのと 同じ効果が得られる。

逆に、値下がりしているとき、一部の株を売却すると、平均取得株価が増加するので、 残りの n-m 株を n 株を平均して t 円で購入したときよりも高く購入したのと 同じ効果が得られる。

残りの n-m 株の値段 t-\frac{m}{n-m}\Delta t と現値 t+\Delta t との差を計算すると、


\label{eq2}
t-\frac{m}{n-m}\Delta t-(t+\Delta t) = -\left(1+\frac{m}{n-m}\right)\Delta t
(2)
となるので、平均取得株価よりも値上がりしているときに一部を売却すれば、残りの平均取得株価が、値上がり幅 \Delta  t よりも大きい値だけ減少したことになるので有利である。

逆に、値下がりしているときに一部を売却してしまうと、残りの平均取得株価が値下がり幅 |\Delta t| よりも大きい値だけ増加してしまい、不利である。 いわゆる、損切り というのは、売却後の残った株式の購入値段を購入時より高く買うことを意味する。もし、n-m の値が小さければ、所有株式の購入値段は想像以上に高くなるだろう。

ある株式の株価は、t=340 円であり、n=500 株購入した。その後、\Delta t = -34 円変化した。100株損切りしたときと、200株損切りしたときとでは、残りの株式の平均購入株価はいくらとなるか。


\label{eq3}
  340-\frac{100}{500-100}\cdot (-34) = 348.5
 (3)


\label{eq4}
  340-\frac{200}{500-200}\cdot (-34) = 362.6\cdots
 (4)


\label{eq5}
  340-\frac{400}{500-400}\cdot (-34) = 476 
 (5)

このように、残りの株式の取得株価は高くなっていく。

命題 2.


\label{eq6}
  \left(t-\frac{m}{n-m}\Delta t\right)(n-m)+m(t+\Delta t) = nt
 (6)
である。

すなわち、初期投資額 nt 円で n 株を所持しており、t+\Delta t 円で、m 株売却したとき、残りの n-m 株を売却して、初期投資額 nt を得るためには、n-m 株は、 一株あたり、\left(t-\frac{m}{n-m}\Delta t\right) 円で売却しなければならない。

したがって、もし、値下がりしたときに、一部を売却すれば、残りの株式をさらに高い値段で売却しないと初期投資額さえ達成できないのである。

ひとつの銘柄で株式投資をするのは、単純明快であるが、売却のリスクは注意しないといけない。 株式で儲けるということの意味は、売買だけではなく、配当金なども絡んでくるので、単純に、上の命題が役に立つというほどのものでもない。

あとがき

このように考えてみると、数直線上の外分点の問題と同一であることがわかる。